ロボット介護機器のための本質安全設計支援ツールの開発

本質的安全設計の実施のためには、適切なリスクアセスメントの実施が必要ですが、十分な経験のない開発者がリスクアセスメントや本質的安全設計を適切に実施するには困難が伴います。そこで、本質的安全設計の実施を容易にすることを目標として、事例を参照しながらリスクアセスメントおよび本質的安全設計を実施できるような本質安全設計支援ツールを開発しました。

 本質安全設計支援ツールは、特にロボット介護機器の開発に的を絞り,本質的安全設計の助けになるツールを目指して開発しました。機器の開発に当たっては、まずリスクアセスメントを実施し、本質安全設計/安全防護/使用上の情報の順に保護方策を適用してリスク低減を行う必要がありますが、ロボット介護機器という新たな分野に参入しようとする開発者にとって、どのようなリスクが想定され,どのように本質安全設計を進めればよいのかの手がかりが必要なためです。

 本質安全設計支援ツールには、次のような基本機能があります。
 (1)リスクアセスメントの実施に関する機能:リスクアセスメントの実施と記録、記録したリスクアセスメント結果の閲覧、リスクアセスメント結果の印刷
 (2)データの編集に関する機能:データの追加・編集・削除、データ間の関係の作成・削除
 (3)データの管理に関する機能:アカウント管理、データ等のインポート/エクスポート、データベースのバックアップ
 (4)対象とするロボット介護機器の基本仕様の編集

 本質的安全設計支援ツールを用いて、以下のような手順でリスクアセスメントを実施します。
 i)対象とするロボット介護機器の基本仕様の決定、機械類の制限の決定
 ii)リスク見積もり手法の選択
 iii)リスク評価基準の設定
 iv)危険源の同定(図1)
 v)危険状態の同定・危険事象の想定
 vi)リスクの見積もり(図2)
 vii)リスクの評価
 viii)保護方策の検討(図3)
 ix)再リスクアセスメント(リスクの見積もり、リスクの評価、残留リスクの取り扱い)

図1 危険源の同定

図2 リスクの見積もり

図3 保護方策の検討