製品化されたロボット介護機器の導入事例動画集

 高齢化が進む中、介護を求める人の数は増えており、介護者の一人当たりの負担は増加していく一途をたどっています。介護においては、移動や移乗の介助、おむつ交換の際など、中腰姿勢で行う作業が多く、その結果、腰痛等身体に不調が生じることもあります。
 このような事情がある中で、近年ロボット介護機器の需要は増加しています。ロボット介護機器には、身体の動きを補助し介助作業をより行いやすくしたり、介護施設利用者の行動をセンサーで感知し、複数人を同時に見守ることができる機器などもあります。以下にいくつかのロボット介護機器と導入事例をご紹介します。また、当サイトの別ページにて動画で導入事例をご紹介していますので、そちらも併せてご覧ください。

スーツタイプのロボット介護機器

介護者が身体に装着することで介護作業時に身体にかかる負荷を軽減するものです。

●ロボットスーツ HAL®介護支援用(腰タイプ)
 HAL は腰に装着するロボットスーツです。ベッドから車いすへの移乗のような腰に負担のかかる介助作業時でも、HAL を装着することで腰への負担を軽減することができます。その結果、腰痛や身体の痛みなどを防ぐことに繋がります。介護老人保健施設菜の花様では、国と東京都の補助金を活用し2017 年よりHAL を導入しています。簡単な操作で使用することができるため、60 代の介護職員の方でもHAL を使用して入浴介助などの力仕事を行っていました。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

●腰補助用マッスルスーツ
 マッスルスーツは、圧縮空気を用い、腰に負担のかかる介護動作でも負担を軽減させる装着型の人工筋肉スーツです。マッスルスーツには2 つのタイプがあり、1 つ目がスーツに繋がったチューブでの呼吸による操作を行う標準モデルです。息を吸うことで30㎏程度の補助が可能となりました。しかし、標準モデルは本体の重さと口による操作の難しさがネックでした。そこで改良されたのが、2 つ目のスタンドアローンモデルです。軽量化され、手動式ポンプによる操作が可能となりました。社会福祉法人シルヴァーウィング新とみ様においてもマッスルスーツを導入しており、単独での移乗介助などを行っていました。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

移乗を補助するロボット介護機器

●離床アシストロボット リショーネPlus
 離床アシストロボット リショーネ Plus は、ベッドが2分割され、片側を分離させると車いすとして使える離床アシストロボットです。離床が困難な方においても、リショーネPlus を用いることで離床がしやすくなります。特別養護老人ホーム・ジョイフル各務原様においてもリショーネPlus を導入し、寝たきりの利用者様の離床時間が増え、外の空気を浴びることができるようになりました。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

●移乗サポートロボット Hug
 Hug は座位間の移乗補助などを行うロボットです。Hug が補助をしている時は、利用者はお尻が上がり、Hug に負ぶさる体勢になるので、座位間の移乗や排泄処理を行うことができます。特別養護老人ホーム長寿の里十四山様でもこちらを利用し、座位間の移乗や脱衣所での体位保持に利用しています。また、被介護者にとっても、今までは介護者に負ぶさって移動していたために気を使っていましたが、Hug の導入によって介護者は気兼ねなくトイレ等に行けるようになりました。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

見守り型ロボット介護機器

見守り型のロボット介護機器は、同時に複数の人を見守ることができます。

●予測型見守りシステム Neos+Care(ネオスケア)
 Neos+Care(ネオスケア)は、赤外線による距離センサーで立体的に部屋の状況を捉えることができ、入居者を見守ることができます。有料老人ホームグッドタイムリビング芝浦アイランド様では、転倒リスクのある入居者に限ったネオスケアの利用を行い、転倒を防ぐほか、転倒してしまった際に、転倒のプロセスの確認を行うことができました。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

●シルエット見守りセンサー
 シルエット見守りセンサーを用いることで、シルエット画像で部屋の様子を確認することができます。医療法人健康会いちご在宅支援センター様においても、シルエット見守りセンサーを利用しています。このセンサーは移設が簡単なため、その日利用したい部屋に設置をすることができます。シルエット見守りセンサーを用いることで、被介護者が今介護を必要としているかを判断することができ、必要な時に被介護者のもとに赴くことができます。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

歩行の補助を行うロボット介護機器

●ロボットアシストウォーカー RT.2
 ロボットアシストウォーカー RT.2 は歩行支援を行う歩行器です。電動アシスト機能を搭載した機器で、歩行状態に合わせて制御を行い利用者の歩行を補助します。路面状況や力の強さなどをセンサーを用いて計測し、それに合わせた歩行補助を行うことができます。特別養護老人ホーム木崎野荘でもRT.2 を導入し、歩くことができなかった方でも歩行が可能になり、トイレも一人で行けるようになりました。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

排泄処理の補助を行うロボット介護機器

●ベッドサイド水洗トイレ
 ベッド横に設置することができる水洗トイレです。排泄物を粉砕、加圧して押し出す上、水洗トイレのため臭いに困りません。また、水を流すホースも細く、好ましい場所にトイレを設置することができます。配管の設置についても大がかりな工事は必要ありません。看護小規模多機能型居宅介護志井ヶ丘楽々庵様でもベッドサイド水洗トイレを利用しており、被介護者の尊厳を守るうえ自立支援を行うことができました。介護者としても、ポータブルトイレのバケツ清掃の労力を減らすことができました。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

●介護用自動ラップ式トイレ ラップポン
 ラップポンは、凝固剤を入れたポリエチレンフィルムを便器にセットし、その中に排泄をしたのちに、フィルムを熱圧着で閉じることにより排泄物を処理する機器です。熱圧着での密閉が臭いを抑える他、細菌の二次感染を防ぐことができます。介護老人保健施設陽だまり様においてもラップポンを利用しており、密閉した袋はそのまま捨てることができるため、作業の手間が減り利用者が排泄物を目にすることもなくなりました。こちらの動画でラップポンの仕組みをご確認頂けます。

●水洗ポータブルトイレ
 こちらは、真空吸引力を利用した水洗トイレです。トイレに給水タンクがついており、そこに水を貯めて使用するため給水工事は不要です。臭いを抑えることができるほか、下水管に直結させることができるため、汚水処理の必要もありません。ベッドの横などに設置することで、被介護者の転倒リスクやトイレの我慢を抑えることができ、自立した排泄を促すことができます。その様子はこちらの動画でご確認頂けます。

ここまでご紹介したように、経済産業省、AMED のロボット介護機器の開発補助事業では、ロボット介護機器開発事業者様の取り組みによって製品化され、介護現場で活用されている機器が多数あります。ロボット介護機器の開発には、介護に携わる方や介護を受ける方の声を拾い上げ、ニーズを把握し、開発後のフィードバックをいただくといった、ユーザーと開発者が共に開発し、機器を育てていく過程が重要となります。まだロボット介護機器を活用したことのない方にも、動画を介して少しでもご興味を持っていただければ幸いです。